ヤン・ヴェルトンゲン
Jan Bert Lieve Vertonghen

攻守両面において抜群の存在感を見せる、万能型センターバック。

積極的に体を当てていく激しい守備と恵まれた高さで貢献するだけではなく、攻撃の組み立てやフィード面などでもチームにプラスを与えられるタレントであり、その正確かつ強烈な左足はミドルシュートやプレイスキックでも猛威を振るう。また、時にはその歯に衣着せぬ言動で周囲を騒がせるが、リーダーとして資質も備えており、相手がベテランであろうビッグネームであろうが、臆することなく自分の意見をぶつけられるメンタルをもっている。

なお、過去にはフェイエノールトの本拠地で国内カップを掲げた際にホームチームを侮辱する歌を熱唱して大バッシングを受けたことがあったり、集中力を欠いた緩慢なプレーでチームにピンチを招くなど、精神面を課題に上げられることも多かったが、年を重ねるごとに改善中。特にアヤックス時代にフランク・デ・ブール監督からキャプテンマークを授けられてからは、ピッチ外では若手の見本となる振る舞いを見せ、ピッチ外では背中で仲間を引っ張れるプレーヤーへと急成長した。

ヘルミナル・ベールスホットからアヤックスのユースへ移り、06/07シーズンにトップ昇格するが、出番はなくすぐにRKCへレンタル移籍で加入。そこで12試合3ゴールをあげてアヤックスへ復帰すると守備的MF、センターバックを中心にレギュラーへ定着。10/11シーズンには大車輪の活躍でチームのリーグ優勝に貢献し、トーマス・ヴェルマーレンがアーセナルに移籍後はキャプテンの役も担い、2012年には年間MVPを受賞するなど飛躍を果たした。その後、「アヤックスで得られるものは全て手に入れた」と、ステップアップを望み、プレミアリーグでプレーする道を選択。様々な移籍先候補が上がる中、個人的に親交のあったラファエル・ファン・デル・ファールトが「スパーズは素晴らしいビジョンをもったクラブ。彼らは間違いなく最高の環境をプレゼントしてくれる」太鼓判を押したこともあり、2012年夏にトッテナムへの入団を果たした。入団後は、序盤戦からすぐさまチームの主軸の一人として名を連ねるパフォーマンスを披露。その働きぶりで、「11/12シーズンをもって現役引退を表明したレドリー・キングに代わる新たなDFリーダーだ」と一部のサポーターから賞賛を受けるまでにその名を高めている。

代表では、2007年にA代表デビュー。2008年の北京五輪ではベルギーU-23代表メンバーとしてベスト4進出に貢献し、A代表では左サイドバックのレギュラーを担っている。

ちなみに、2012年夏にトッテナムへ移籍する際には、アヤックスが少しでも高額の移籍金を得るためにヴェルトンゲンに対して「スパーズ以外の話も聞いたらどうだ？」と提案したらしいが、「スパーズはずっと前からの意中のクラブだ」と突っぱねるなど、性格は初志貫徹。この強い意志のもと、アヤックス・ユース時代にはヨハン・クライフ大学（トップアスリートに修士号獲得のチャンスを与える特別な大学）で学び、商業経済学とスポーツマーケティング学を習得。トップの成績で卒業している。