ディミータル・ベルバトフ
Dimitar Ivanov Berbatov

「天使の顔を持つ悪魔」という愛称を持つ怠惰とファンタジーの間に生きるブルガリアの貴公子。

長身で身体も強いが、敵とぶつかり合うことを好まずもっぱら相手DFとMFの間のスペースをふらふらとさまよっている。一度ボールが足下に入れば奪うことは極めて困難で、華麗な足技と一瞬の閃きで決定的なスルーパスを通すこともしばしば。かといって無理にインターセプトを狙えば簡単にあしらわれてしまうため、DFにとっては厄介な存在だ。 

運動量とスピードが足りていない（本人談）ためにファーガソン好みではなくマンチェスター・ユナイテッドでは思ったほど出番が得られなかったが、出場機会さえ与えられれば確実に得点をしてくれるありがたい存在である。


6年間を過ごしたバイヤー・レヴァークーゼンでは最後の3年間で118試合69得点。その才能を開花させたベルバトフは2006年の夏にトッテナムに加入する。少年時代アラン・シアラーに憧れ、ニューカッスルのシャツを着て眠っていた彼にとってはまさに夢の舞台への挑戦となったが、ここでも得点力をいかんなく発揮。2シーズンで46ゴールをあげ、06/07のベストイレブンに選出されるなどプレミアリーグ屈指のセカンドストライカーの地位を確立した。

その後、長い間熱い視線を送っていたマンチェスター・ユナイテッドへ、2008年夏に移籍。高額な移籍金がネックとなりなかなか話がまとまらなかったが、一夜にして世界一リッチなクラブになったマンチェスター・シティに強奪されるのを恐れ、土壇場でマンUがモノにした形となった。晴れて入団後は、ルーニーとプレースタイルがかぶったこともありスパーズ時代のプレーを見せられず、「移籍金の割に活躍が物足りない」と批判受けたが、10/11シーズン覚醒。よりゴールを意識したプレーが増えたこともあり、リヴァプール戦でハットトリック、ブラックバーン戦で5得点などと大爆発。リーグ優勝に貢献しただけではなく、自身も得点王に輝いた。

祖父から続くサッカー選手の系譜を持ち、母はハンドボールの選手で弟もサッカー選手であるというまさにスポーツエリート一家の出である。少年時代は陸上競技に熱中していたらしい。

サッカー以外では2008年に「ディミタール・ベルバトフ財団」を設立。「非政府」「非宗教」をモットーに公的機関の設立に寄与。祖国の子供たちの高度な育成にもチャレンジしている。