シャビ・アロンソ
Xabier (Xabi) Alonso Olano

バスクが生んだパス・マスター。

トップレベルのプレッシャーの中でロングパスを正確に味方の足下に合わせることができる選手はそう多くないが、シャビ・アロンソはそれを完璧にやってのける稀有な選手の一人だ。

スピードはなく守備範囲も狭いが、ポジショニングと球際の強さ、バランス感覚を持つ。単なる散らしが得意なパサーだと思われがちだが、スタミナも一試合12km以上を走りきれるレベルでフィジカルにも優れ、ゴールも狙う事が出来る。力のあるボールが蹴れる選手でもあり、特に縦へくさびとなるパスはまるでシュートかと思う様な速さである。

バスクの小さな町トロサに生まれる。父はレアル・ソシエダのスターだった元スペイン代表、ペリコ・アロンソ。ミケル・アルテタ（エヴァートン）とは幼馴染で、ともに地元のクラブで座を磨いた仲。

父、兄ミケルと同じソシエダに入団し、00/01シーズンにレンタルされたエイバルで頭角を現す。02/03シーズン、チームはレイノー・ドゥヌエの下で2位に躍進。アロンソは持ち前の正確なパスとインテリジェンスを発揮し、一躍リーガ屈指のボランチと評されるようになる。この活躍でA代表にも2003年4月にデビュー。翌年のEURO2004でも2試合に出場している。

04/05シーズンにリヴァプールに移り、同年のCL優勝に貢献。決勝ではPKから得点を決めている。07/08は怪我やルーカスの台頭で出場機会が減少、シーズン後にはユヴェントス移籍が決定したとの噂もあったが、最終的にはチームにとどまった。ジェラードとのコンビはリヴァプールファンからも非常に人気があった。EURO2008ではレギュラーではなかったが、要所で好プレーを見せて優勝に貢献。その勢いのまま08/09シーズンも開幕から印象的な活躍を見せている。

09/10シーズンには強く請われたレアル・マドリーへ移籍。持ち前のパサーぶりを大いに発揮し、マドリーにおいてもなくてはならない存在に。彼がいるといないとではまるでチームが違っていた。

14/15シーズンの夏、レアル・マドリーからバイエルン・ミュンヘンへと移籍。その戦術理解の高さからペップ・バイエルンで3バックの中央でプレーするなど、攻撃のタクトを振るう。

驚きの記録が生まれたのは同シーズン第6節のケルン戦。ブンデスリーガでの5試合目となったこの試合で206タッチを記録し、ブンデスリーガ記録を樹立した。これは前年にティアゴ・アルカンタラが記録した187（185説あり）を更新するものであった。また、この試合では175本のパスを成功させ、これまた同リーグの記録を更新した（それまでのレコードホルダーは上述したティアゴ。同じ試合で159本を記録）。

そのロングキックの精度から、隙さえあればハーフウェーラインの手前からでも果敢にロングシュートを狙ってくる。これまでにも2004/05シーズンのルートン・タウン戦、2006/07シーズンのニューカッスル・ユナイテッド戦などで自陣から60-70m級のロングシュートを決めている。

なお、兄のミケル・アロンソは彼のことを「素晴らしいパスがあり、ゲームを読む事ができるし、フットボールを非常によく理解している。堅い守備力もあり、あらゆるラインの選手をサポートできるんだ」と評している。