セスク
Francesc Fàbregas Soler (Cesc)

“バルサの魂”と“ガナーズへの忠誠心”を宿した、異次元のメディア・セントロ。

彼のフットボールスタイルを分析する際に、スペイン代表のチームメイトであるチャビ、イニエスタは“近代的フットボーラーのプロトタイプ”とカテゴライズしたが、一言では片付けられない数多の才能を備える全知全能型のミッドフィルダーと言えるだろう。

繊細なボールタッチ、両足から放たれるスルーパス、そして、フリースペースを即座に把握してそのエリアに侵入するセンスは世界でもトップクラスのクオリティーを誇り、守備では実直にチェック＆カバーをこなし、フィジカルコンタクトも厭わぬ熱いプレーでチームを引っ張るように、長所を挙げればキリがない。だが、強いて一つ挙げるならば、まさに“異次元”と称すべきそのサッカー眼にある。その持って生まれた才能と鍛錬を重ねた経験によって培われた試合を読む眼は、二手三手先を読んだプレー選択を可能にし、「このプレーをすることによって、相手はこう動き。その動きによって次はこのような展開となり、そして、このように発展する」と具体的なイメージを感覚的なものとして瞬時に予測。彼が世界最高峰のミッドフィルダーになれた最大の要因はここにあると言っても過言ではない。

生後9か月で祖父に連れられバルサの試合を見たという生粋のバルサ育ちで、カンテラ時代にはメッシ、ピケらと共にプレーし、当時から素晴らしい才能を見せていたが、「チームの戦術に合わない」という理由からベンチに座ることも多く、ユース時代は陽の目を浴びることは決して多くなかった。だが、2003年、若手コレクターとしても有名であるアルセーヌ・ヴェンゲルによってアーセナルに招かれると、同年のU17W杯で得点王とMVPの2冠を達成。翌シーズンからはチームの主力としてすさまじいスピードで成長を続け、09/10シーズンにはリーグ戦27試合で15得点と、課題だった決定力も飛躍的に向上。20代前半のうちに、プレミアリーグはのみならず、欧州、世界で彼の名を知らぬものはいないほどのフットボーラーへと昇華した。

また、バルサのカンテラ育ちということで、ことあるごとに“古巣”への帰還が取り沙汰されるが、W杯南アフリカ大会後の優勝セレモニーではピケ、プジョルらにバルサのユニフォームを着せられ、さらに「セスクは遅かれ早かれバルサに来る」と彼らが発言したことにより、一時は「バルサ移籍は確定」と報道される騒動が起こったこともある。

ちなみに、05/06シーズンから10/11シーズンまでの間において、欧州で最もアシストを決めた選手でもある。