サミル・ナスリ
Samir Nasri

アルジェリア移民の両親の下に生まれ、マルセイユのストリートでサッカーを学んだテクニシャンとあれば、サミル・ナスリが『ジダンの後継者』と呼ばれるのも無理はない。ナスリが今まで同じように呼ばれてきた若手選手たち―もちろん彼らの中の誰もがジダンには遠く及ばなかった―と同じ道をたどるのかどうかは誰にもわからない。しかしこれまでのところ、彼には明るい未来が待っているようだ。

9歳でマルセイユに入団。フランスの黄金世代”ジェネラシオン87”の中心として各年代別の代表で活躍し、2004年のU-17欧州選手権では自らのゴールで優勝を決めて、一躍その名を知られる存在となった。04/05シーズン、フィリップ・トルシエに抜擢され17歳でレギュラーに。06/07にはリーグ1最優秀若手選手賞に輝き、A代表にも招集された。

EURO2008のあと、1270万ポンドでアーセナルへ移籍。シーズン開幕戦で先制ゴールをあげ、驚くほどあっさりとチームになじんでみせた。ガナーズではかつてのピレスと同じ左ウィングのポジションを与えられ、偉大な先輩を彷彿とさせるキレのあるドリブルを披露している。また、小柄ながらキープ力も高く、囲まれながらもボールを失わず、DFの一瞬のズレをついて正確なスルーパスを出せる。

10/11シーズンは膝の半月板損傷で1ヵ月遅れのスタートになったが、これを契機に肉体改造も本格的に実戦。復帰後には大柄選手あいてにも当たり負けないフィジカルを披露するだけではなく、ヴェンゲル監督曰く「得点の味を覚えた」とコメントとするように進化した得点能力も発揮。「ナスリが前半戦のガナーズを引っ張った」といっても過言ではない活躍を見せた。しかし、チームの心臓であったセスクが抜けた11/12シーズン、リーグ開幕後に予てから噂のあったマンチェスター・シティへ電撃移籍。「お金のためにナスリは移籍したというやつは放っておけばいい。僕は大きな野望をもったシティに惹かれただけだ。タイトルを取りたかったからね」とコメントを残し、多くのグーナーに悲しませた。

ちなみにピッチ内外で過激な発言を残しており、しばしば問題視されている。