大久保 嘉人
Yoshito Okubo

スコアラー兼チャンスメーカーとして、独特の味を出す、日本代表アタッカー。

アジリティの高さと巧みなボールコントロールを武器に前線の収めどころとなり、ゴール前では鋭い嗅覚を発揮。FWだけでなく中盤の攻撃的な位置も中央・両サイドを問わずプレーでき、なおかつハードワークもこなせることから監督にとっては非常に使い勝手の良い選手である。近年はややアウト気味のインステップに乗せた長距離砲を得意としている。

国見高校時代にインターハイ、国体、選手権の三冠を達成し、鳴り物入りでセレッソ大阪へ入団。熱くなりすぎる性格からカードを連発しながらも、持ち前の動物的な身体能力と正確なフィニッシュを武器に、プロ2年目からゴールを量産し、2004年のアテネ五輪では3試合に出場、2得点をあげた。この活躍が評価され、2005年にマジョルカへレンタル移籍。1ゴール1アシストの鮮烈なデビューを飾ったが、最終的に完全移籍を勝ち取ることはできず、1年半でセレッソへ復帰。その後、2007年に移籍したヴィッセル神戸で中心選手として活躍し、2009年に再び海外へ。しかし、移籍先のヴォルフスブルクではグラフィッチ、ジェコという巨大な壁が立ちふさがり、結局半年での帰国を余儀なくされた。

2009年6月にJリーグへ帰還後は、中盤での起用がメインとなったこともあり、視野の広さ、パスセンスの能力が飛躍的に向上。自らドリブルで仕掛けるシーンは減ったが、周囲を活かすチャンスメーカーとして新境地を開拓した。

神戸のJ2降格もあり、2013年に川崎フロンターレへ移籍。風間監督のもと1トップで起用されると、本来持っていた得点感覚が蘇りゴールを量産。独特のポゼッションスタイルの中でボールの受け方や止め方など細部の質も向上し、中村憲剛、レナトと驚異のアタッキングトリオを形成。最終的には自身最多の26ゴールをあげ、初のJ1得点王に輝いた。

2010年、2014年と2大会連続でW杯メンバーに選出。A代表に初招集を受けたのは2003年だが、判定にも泣かされてなかなか結果が出せず、初ゴールは2007年のエジプト戦。実に21試合目でのことだった。それゆえに当初は批判も多かった。