森﨑 和幸
Kazuyuki Morisaki

森﨑兄弟の双子の兄で、卓越した戦術眼でチームを陰から支える“ドクトル・カズ”。

弟がやや天才肌な攻撃的MFであるのに対し、兄は中盤の低い位置で黙々と攻撃の芽を刈り取り、確実に味方へ繋ぐ職人タイプ。ミハイロ・ペトロヴィッチは寡黙だが高度な基礎技術と卓越した戦術眼を持つ和幸を“ドクトル”（ドイツ語で博士）と呼び、それが彼の愛称にもなっている。

若い頃は素質はあるが性格的に内気で後ろ向きなプレーがしばしば批判の対象となった。当時の指揮官、小野剛氏はショック療法として一時的に攻撃的なポジションで起用している。一方のペトロヴィッチは当初、ボール扱いに優れた彼を最終ラインで起用したが、身体能力が低く対人戦での弱点を露呈。ラインを下げ過ぎるなどコンバートは成功しなかった。

ただ、これらの弱点は30歳を迎える頃には克服し力強い選手へと成長を遂げている。青山敏弘と不動のボランチを組み、2012,2013年のリーグ連覇に貢献。2013年にはJ1全選手のうち最多となる3117本ものパスを配給し、うち2911本を成功させている。

なお、若い頃は兄弟揃ってユース代表の常連で、アテネ五輪の予選では主力を務めた。しかし本大会はそれまで兄に遅れをとっていた浩司が抜擢された一方、和幸は落選。以降、代表とは全く縁がない。ただJリーグでの長きに渡る安定したパフォーマンスが、他の代表選手に全く劣るものではないことはここに記しておく必要があるだろう。