マリオ・バロテッリ
Mario Barwuah Balotelli

カロン、マーティンス、オビンナなどアフリカ系FWを何人も輩出してきたインテルスカウト陣が見つけた最高傑作。

ガーナにルーツがあることを感じさせるブラックアフリカン特有の身体能力（20m走の速さは当時のインテルでベスト3。垂直跳びは52cm。レッグエクステンションは140キロ）はもちろんのこと、ベテラン選手顔負けの冷静さと確かな技術を兼ね備えている。特にプレースキックは、この手の“若い黒人FW"というイメージからかけ離れた脅威の精度を誇り、名手揃いのインテルでもキッカーを任せられることが多かった。これはインテルのアシスタントコーチを務めていたミハイロヴィッチによる指導の賜物である。

08/09開幕前のプレシーズンマッチ期間で、サポーター達も“スーパーマリオ"と拍手喝采するほどの大爆発を見せ、その後、先発出場も増えた(トップデビューは07/08シーズン)。

しかし、性格に難があり、練習もあまり好きではなく、インテル時代にはモウリーニョから毎日のように叱られた。また、練習中に泣き出したこともあれば、不用意な問題発言も度々あり、例えば、2010年のイタリア最優秀若手選手獲得時には「オレよりちょっとだけ最高の選手が一人だけいる。リオネル・メッシだよ」と発言している。

ちなみに、捨て子だったバロテッリは、彼を育ててくれたバロテッリ家の人々に心から感謝をしており、生みの親ではなく、育ての親が本当の家族だと語っている。

10/11シーズンにインテルを離れ、マンチェスター・シティへ加入。ここでも、問題行動は相変わらずだったが、選手としてのスケールがワンランク上のレベルに達し、規格外のプレーでチームを牽引。11/12シーズンのリーグ優勝に大きく貢献した。

その後2013年の1月にミランへ移籍し再びイタリアの地を踏むバロテッリだが、度々人種差別や非難中傷などを受けることもあり2014年8月末にイングランドのリヴァプールに移籍。クラブ公式HPを通じて発したコメントには「すごくハッピーだ。リヴァプールはイングランドでもベストチームの1つだし、すごく良いサッカーをしている。若い選手たちもいるし、偉大なチームだ。それがここに来た理由だよ」と語っているが、約1年半ぶりのイングランド復帰については「戻って来られてうれしいよ。イングランドを離れたことは間違いだった。イタリアに帰ることを望んでいたけど、ミステイクだったんだ」とのコメントを残している。

なおこの移籍に対し元イングランド代表DFのジェイミー・キャラガー氏が「何度か対戦したことはあるが、その時の彼は何もしていなかった」「ユーロ2012でのプレーを見れば、バロテッリが素晴らしい選手だとわかる。だが、苛立ち、退場処分を受けるようなマンチェスター・Cでの姿をリヴァプールでは見たくはない」と語っているとスカイスポーツが伝えている。