フランク・リベリ
Franck Henry Pierre Ribéry

即興のアイデアが生み出すドリブルと優れたパスセンス、そして、卓越した得点力を備える世界最高クラスのサイドアタッカー。

「戦術に縛られると良さが出せない」と本人が語っているように、自由を与えないと良さが出ないという弱点はあるが、相手チームに甚大な危険度を与えられるアタッキングセンスは筆舌に値。また、若き頃は独善的なプレーが目立つこともあったが、キャリアを重ねるごとに「最も重要なことはチームのためにプレーすること」と意識にも変化が現れ、リズムチェンジャーとしての才も伸ばした。

00/01シーズンにユース時代から身を置いていてブローニュでプロデビュー。その後、アレ、ブレストを経て、04/05シーズンにはメスへ。ここで自身が「おれの長所を最大限に引き出してくれた最初の監督」と振り返る、ジャン・フェルナンデスに出会うと、ボールを持ったとにかく前に仕掛けるプレースタイルで才能を開花。2005年に加入したガラタサライでは、契約面で問題が発生したこともあり一年足らずで退団したが、05/06シーズンからはマルセイユに復帰。ここでジャン・フェルナンデスとの再会を果たすと、さらにその能力を向上。その後は、07/08シーズンにバイエルンに2500万ユーロで移籍し、加入初年度から二桁得点を挙げるなど、その期待に応える活躍を披露。故障により長期離脱を余儀なくされたシーズンもあったが、11/12シーズンには、ブンデスリーガでプレーする選手が選ぶシーズン前半戦MVPに選出されるなど、キャリアハイのパフォーマンスで奮闘。お決まりだった「故障離脱」もなく、最終的には32試合に出場して12得点18アシストという記録を残した。

フランス代表には、U-21代表を経て2006年にA代表初参加。同年にはW杯のメンバーに名を連ねるなど、瞬く間にその地位を確立させ、EURO2008では中心的プレーヤーとして奔走。グループリーグ最終戦で負傷退場してしまい、チームも決勝トーナメント進出を果たせなかったが、ジネディーヌ・ジダンなき後の“レ・ブルー”の顔となった。だが、大きな期待を集めた2010W杯では、レイモン・ドメネク監督との不和が報じられ、主将パトリス・エヴラと共に反乱分子の首謀として混乱の元に。練習をボイコットしたこともあり、大会終了後には3試合の代表戦出場停止を命じられた。

なお、2歳の頃に経験した交通事故が元で右の頬などに傷跡が残っていることから「スカーフェイス」というあだ名で呼ばれることがあるが、学生時代はカジモド(ディズニー映画にもなったノートルダムに済むといわれる醜い怪物)と嘲笑されいじめにもあったことから嫌っている。

また、2005年にはムリスマ（イスラム教徒）の女性と結婚したこともあり、自身もイスラム教に改宗。試合前にホテルで礼拝を行ってから、試合に臨んでいる。

2013年、UEFA欧州最優秀選手賞を獲得。2014年W杯直前に負傷し本大会を欠場。後に代表チームからの引退を発表した。